運転免許は、日本国内で約8000万人を超える人が保有する免許で、保有率は免許を取得できる18歳以上の人口の約75%が持っている。これだけメジャーな免許だけに、ニュースで取り上げられることも多い。高齢者の運転免許の返納。無免許運転については、昨年末大きく取り上げられ連日ニュースとなった。ここまで、メジャーな免許ではないが、動物を捕獲するにも免許が必要だ。狩猟免許と言われる中の「わな猟」免許がないと原則当社が製造する捕獲器を扱うことはできない。
◆狩猟免許は、最近取得する人が増えている。狩猟免許は、「第一種銃猟」「第二種銃猟」「網猟」「わな猟」の4つに分類される。環境省の鳥獣関係統計(1979年~2017年)によると1980年代には40万人以上が狩猟免許を保有していたが、年々減少していき2012年に18万人となり過去最低となる。30年余りで半分以下に減ったことになる。しかし、2013年以降徐々に保有者が増加し、2017年に20万人まで回復している。特に、「わな猟」免許の取得者が著しく増加し、2007年と比較すると10年間で倍に増加。一方で、「第一種銃猟」は10年間で3割ほど減少している。
*狩猟免許の保有数は、重複保有できるため上記の人数は、いずれものべ人数。
◆「わな猟」の取得が増加している背景には、有害鳥獣等による農作物被害の拡大が大きく関係していると思われる。野生動物を捕獲するのには、大きく分けて「狩猟」「許可捕獲」の2種類がある。その違いを環境省のホームページで調べてみると
・「狩猟」=狩猟鳥獣を、狩猟期間に、定められた猟法で捕獲(都道府県知事が実施する狩猟免許試験に合格し狩猟免許を受け、毎年度、狩猟者登録をして実施)
・「許可捕獲」=鳥獣による生態系等への被害の防止等、特定の目的のため、都道府県知事などの許可を受け、鳥獣を捕獲(原則、狩猟免許が必要)とある。
「わな猟」免許の取得者の増加は、農作物被害や家屋被害に対し、自己防衛として「許可捕獲」で動物を捕獲したいと考えている人が増加しているからだ。
◆有害鳥獣獣による農作物の被害金額は、年間200億円前後で推移。先述した「わな猟」免許取得が増加し始める2013年以降、徐々に被害額は減少し令和2年度では161億円まで減少している。年々被害額が減少しており、改善しているように一見見えるが、実際は大きく異なる。被害額はあくまでも出荷ベースの金額であり、鳥獣被害で農家をやめた方や家庭菜園やセカンドライフ等個人で農業を楽しむ方が被った被害額は入っていない。つまり、数字に表れない、目に見えない被害が今だに多いというのが現状である。
◆捕獲器は、一昔前まで一部の猟師さん等が使用するものであったが、今は一般の農家さんや個人の方でも使用されるシーンが増えている。また、ネット通販等でも手に入りやすい環境になっている。繰り返しになるが、捕獲器の使用には原則「わな猟」免許が必要だ。また、動物を捕獲するには自治体への許可申請が必須だ。この2つを忘れてはいけない。捕獲器は、農作物や家屋を動物から守るための道具であると共に人の生活や生きがいをも守る道具と言える。ただ、道具はあくまでも道具に過ぎない。使う人のモラルによって道具の意味合いは大きく異なる。たかが捕獲器と思うかもしれない。残念ながら捕獲器が動物虐待に使用されるケースも少なからず存在する。捕獲器も車も同じで、便利だが使い方によっては攻撃の道具にもなり得る。だからこそ、どちらも免許が必要なのだ。免許の意味はそういうところにある。
(こうじ)